JROD 放射線治療症例全国登録 │ Japanese Radiation Oncology Database
Q. JROD症例登録事業の目的は何ですか。
A. 国民の健康に貢献するために、国内で行われている放射線治療の実態を把握することです。具体的には、全体的な実態の国外との比較や他の治療方法との比較、時間的な変遷、医療被曝の実態などを把握することにより、省庁や施設との交渉、放射線治療の質の均てん化、各施設の治療成績の向上、などの多くの効果が期待されます。
Q. 誰が運営するのですか。
A. 日本放射線腫瘍学会(JASTRO)と放射線医学総合研究所のメンバーからなる運営委員会で運営します。データセンターは放射線医学総合研究所に設置しています。
Q. 症例登録は義務なのですか。
A. JASTROが現在行っているもうひとつのデータ登録事業である放射線治療施設実態調査(構造調査)は認定施設の必須条件でした。JROD は、現在は「義務」との位置づけではありませんが、学会の使命として全国の専門医にぜひともお願いいたします。
Q. 参加施設から見て、メリットはあるのですか。
A. 症例登録を、「主体として運営する立場」になることが最大のメリットです。それによる具体的な長所は、以下が一例です。
・各施設の立ち位置を客観評価可能
・すべてのデータ出力を申請する権限を持つ。
・自施設の長短所を分析できる。
・人手不足があれば、施設長と交渉する材料となる。
Q. 放射線医学総合研究所で行っているNRDとは違うのですか。
A. JRODは放射線治療に特化しています。さらに、経過観察データを含んでいることも NRD との大きな違いです。
Q. 構造調査との関係はあるのですか。
A. 2つの登録事業(構造と過程・結果) は一体です。構造と症例の過程・結果は相互関連しているので、2つのデータを押さえることにより診療の質の改善につながります。また、共通するデータ項目もあるので、将来的には「症例登録」を行えば「構造調査」の入力の手間が大きく削減できる可能性が高いです。
Q. JRODのデータはどのように使用されますか。
A. 自施設と全国、地域との比較が常時可能です。国の医療全体の方向性を考慮する判断材料になります。
Q. データの閲覧はできますか。
A. 閲覧可能です。詳細については、今後案内していく予定です。
Q. 他施設のデータを見ることができますか。
A. いいえ。全体データと、自施設データのみ閲覧可能です。
Q. データはどのように使用されますか。
A. 全体データは毎年集計して公開されます。自施設データは常時参照可能です。
Q. データを論文などに引用できますか。
A. 公表データは可能です。利用申請・審査システムを構築中です。
Q. 個人情報についてはどのような扱いですか。
A. 患者さん個人が識別できる情報の登録はありません。将来的に専門医の更新に必要な診療実績などにデータを利用する予定ですので、施設の医療スタッフの情報を収集しています。
Q. 患者さんの同意や、倫理委員会の承認は必要ですか。
A. 臨床研究に関する倫理指針では本事業においては患者さんからインフォームド・コンセントを受けることを必ずしも要していません。また、データセンターである放射線医学総合研究所の倫理委員会の承認を得ていますので、施設の倫理審査は迅速審査が可能です。
Q. これを入力すれば「がん登録」は不要となりますか。
A. 現時点では不要になりません。JROD はがん登録のデータ項目を包含しているので、将来は対応していく予定です。
Q. これを入力すれば「構造調査」は不要となりますか。
A. 不要とはなりませんが、各年で、症例全体を登録していただければ「疾患別治療数」など多くのデータを構造調査のほうに入力する必要がなくなります。
Q. 運営の責任者は誰なのですか。
A. 日本放射線腫瘍学会です。
Q. 自施設のデータベースと二重の管理は避けたいのですが方法はありますか。
A. すでに、いくつかのRISメーカーの協力を得て、RIS内データの JROD フォーマットへの出力を可能としています。また、各施設の状況によりメリットがあると判断された場合には、各施設のデータベースを JROD のほうに一本化するのもひとつの方法です。(JROD のデータ項目は長い時間をかけて吟味されていて、疾患名や病理組織の入力方法も簡便化されています。施設が自由に使える項目も用意されています。いずれにしても各施設のデータベースは必須なので、RIS や装置の更新を契機に JROD に統一する長所が大きい可能性があります。)
Q. データ入力に割けるマンパワーがありません。対策はないですか。
A. 以下の対策が考えられます。
・医療補助職員に一部をお願いする。
・全数を登録することにより、構造調査のほうを省力化する。
・RIS メーカ―に出力を依頼する。(すでに対応可能な場合もあります。随時情報を公開していきます。)
Q. データが医事紛争に使用されませんか。
A. ありません。個々の施設データが公開されることはありません。なお、公開される全体データは委員会で吟味されます。
Q. 学会が診療行為をチェックしませんか。
A. そのような目的にデータは使用されません。全体の動向を見極めて、方向性をリードすることは、学会本来の重要な目的のひとつです。逆に、施設側から全体のデータを参照して医療の質を向上させることができます。
Q. データ項目一覧を見せて下さい。
A. データ項目については、下記症例登録webページにて公開しています。
全国放射線治療実態調査Web登録 http://www.jastrodb.net/index.html
1. 上記ページから施設ID、パスワードでログイン
2. 左メニューの<登録ソフト>をクリック
Q. データ項目の変更・追加をお願いできますか。
A. ある一定期間ごとに、参加施設のご意見を集約して見直します。
Q. 同一患者に2回以上放射線治療を行った場合はどうするのですか。同様に、同時期2部位の場合はどうするのですか。
A. JRODでは基本的な考えとして、「1部位1レコード」となります。部位が異なる場合、同一患者でも時期が異なる場合は別々の登録となります。
Q. 別の施設でも放射線治療が実施された場合はどうするのですか。
A. 現時点では個人情報の収集を行わないので、二重登録されることになります。
Q. 初回登録後のフォローアップ入力は必須ですか。いつ行いますか。
A. 現時点では必須ではありません。今後、既提出例の追跡情報を収集を行う予定ですが、具体的な時期は今後通知いたします。
Q. 全項目の入力が必要なのですか。
A. 必須ではありません。しかし可能な限り全項目の入力をお願いいたします。各施設の情報系が整備され自動提出が行えるようになれば可能なので、実態の聞き取りを行いながら進化させていく予定です。
Q. 婦人科や脳外科が主体として放射線治療を行っている場合はどうするのですか。
A. 各施設のご判断となりますが、登録のもれや、重複がないように、放射線治療医が指揮していただけるのが理想です。
Q. データの提出時期はいつですか。データの提出期限はあるのですか。
A. 毎年9月末から12月末までに前年度の放射線治療開始症例を登録することになります(今年度は例外として11月末から2月末で収集予定です)。
Q. 提出したデータの変更は可能ですか。
A. 締切日前であればいつでも可能です。
Q. 「クラウド型」にしてオンライン登録できますか。
A. データセンターと各施設にとってメリットが大きいため、技術的に検討中です。現在は時期尚早と判断しています。
Q. FileMaker Pro を購入しないといけないのですか。
A. 基本的には不要です。JASTRO提供の放射線治療部門データベースはFlieMakerで構築しておりますが、FileMakerがインストールされていなくても利用できるRuntime版もダウンロード可能です。施設でカスタマイズしてお使いいただくためにはFileMaker Proが必要となります。
Q. 定期的にバージョンアップはありますか。
A. 中期的に、データ項目やソフトウェアを見直す可能性があります。
Q. Microsoft Accessでの管理はできますか。
A. いいえ。学会はサポートしていません。
Q. RISとオンライン化できますか。
A. RISからexportしたファイルをオンラインで登録することとなります。
Q. 電子カルテ情報を転送することはできますか。
A. 各施設の情報系の取り決めに依存します。直接の転送は不可能な施設が多いと思われます。
Q. 運営費用は誰が出すのですか。
A. 現在は学会事業として学会が運営しています。適宜外部資金の獲得も行います。
Q. 登録参加による報酬はありますか。
A. ありません。放射線治療医の使命感と、参加施設の長所を増やすことにより運営されます。