No.194
Large AVMに対する小分割定位放射線治療(HSRT)のレビュー
Hypofractionated stereotactic radiotherapy for large arteriovenous
Huan-Chih Wang, et al
Surg Neurol Int 2012:3, Suppl S2:105-110
目的
AVMに対しHSRTを施行した最近の論文からAVMの閉塞率や有害事象の発症率を検討する。
結果
・投与線量は1回線量4-7Gyで総線量28-42Gyとしたものが多かった。
・AVM閉塞率は治療後3年で17-53%、5年で61-70%であった。
・総線量にかかわらず、1回線量が大きいほどAVMの閉塞率が高い傾向にあった。
・HSRT後のAVMからの出血率は3-9%/年であった。
・HSRT後の放射線脳壊死の発生率は0%-7%であった。
・42Gy/6frという比較的高線量を投与した報告では症状を伴う有害事象が28%と高率に見られた。
結論
1回線量が大きいほど閉塞率が高い傾向にあること、また総線量が大きいと有害事象発生リスクの上昇することから、7Gy x 4回あるいは6-6.5Gy x 5回のHSRTが適当と考えられる。
コメント
small AVMに対しては手術もしくはSRSにて良好な治療成績を得られることが知られている。それに対してlarge AVM (largeの定義自体施設によりバラバラであるが概ね長径3cmを超えるもの)に対する適切な治療法は確立していない。large AVMに対するSRSは照射体積が大きくなるため十分な線量を投与できなかったり有害事象の発生率が高くなることが予想される。
一方、通常分割照射による50Gy程度の照射では閉塞率の悪いことが知られている。本レビューからLarge AVMに対してはHSRTにて比較的安全に治療でき、治療成績もそれほど悪くないことが確認出来る。今後適応を検討していくべきと考える。
Evidence level 3
PMID: 22826813
(国際医療福祉大・福留 潤)