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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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No.200
閉経前乳癌における術後エキセメスタン+卵巣機能抑制療法

Adjuvant exemestane with ovarian suppression in premenopausal breast cancer.

Pagani O, Regan MM, Wally BA, et al.
N Eng J Med 2014 Jul 10:371(2):107-18, Epub 2014 Jun 1

背景

閉経後ホルモン受容体陽性乳癌に対しては、抗エストロゲン剤 Tamoxifen よりもアロマターゼインヒビター(AI)が予後を改善する。

目的

閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対するアロマターゼインヒビター + 卵巣機能抑制療法の効果を、タモキシフェン + 卵巣機能抑制療法と比較する。

方法

IBCSG(International Breast Cancer Study Group)が 2003年に開始した、ふたつの RCT を解析:

Exemestane + OFS(n=2359, 下記のA+C)と、Tamoxifen + OFS(n=2358, 同 B+D)を比較した。

(*OFS(ovarian function suppression): LH-RH analogue 等による。)

1. TEXT(Tamoxifen and Exemestane Trial; IBCSG 25-02)

(A)Exemestane + OFS(n=1338)

(B)Tamoxifen + OFS(n=1334)

2. SOFT(Suppression of Ovarian Function Trial; IBCSG 24-02)

(C)Exemestane + OFS(n=1021)

(D)Tamoxifen + OFS(n=1024)

(E)Tamoxifen(n=1021)

対称

乳腺と腋窩までに限局した手術可能乳癌、ER または PgR が 10% 以上陽性。

結果

経過観察は中央値 68か月。5年無病生存はexemestane + OFS と tamoxifen + OFSでそれぞれ 91.1% vs 87.3%(HR 0.72, 95%CI 0.60-0.85; p<.001)。

全生存率には有意差なし(p=0.37)、有害事象(grade 3-4)も差がない(30.6% vs 29.4%)

結論

閉経前ホルモン受容体陽性の乳癌に対するexemestane + OFS は tamoxifen + OFS よりも有意に再発を低下させる。

コメント

臨床的インパクトの大きい報告である。

IBCSG による TEXT と SOFT(2003-2011年)の目的は以下を明らかにすることであった。

・卵巣機能抑制を行っている閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する AI の役割

・タモキシフェンで治療されている閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する卵巣抑制の役割

その結論には今後まだ12年の追跡を要するが、その初回報告である。

HR 0.72, p<.001 となれば「すわ標準治療ぞ」とばかりに情勢が大きく動く可能性がある。しかし閉経前乳癌に対し exemestane を投与するには LH-RHa による卵巣抑制が必要であるし、それを本スタディのように5年も投与するのも大変だ。

対称をみると、全体のpN0 症例は 2712/4690例(57.8%)、pT1症例は 2922/4690例(62.3%)と、ともにやや少ない。pStage IA 例にも 5年の exemestane + LH-RHa が必要なのだろうか。


Evidence level Ib

PMID: 24881463

(近畿大奈良・岡嶋 馨)

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