「第16回・第17回 医学生・研修医のための放射線治療セミナー」
「第16回・第17回 医学生・研修医のための放射線治療セミナー」報告記
「第16回・第17回 医学生・研修医のための放射線治療セミナー」を終えて
NExT代表
新潟大学 阿部 英輔
この度、「第16回 医学生・研修医のための放射線治療セミナー」が7月3日(土)に大阪府立成人病センターにて、「第17回 医学生・研修医のための放射線治療セミナー」が7月17日(土)にエレクタ本社にて開催されました。
「医学生・研修医のための放射線治療セミナー」は、昨年までは「放射線腫瘍学夏季セミナー」に合わせて同一日時に開催されてきましたが、今年から分離し独立開催となりました。その主な目的は、放射線治療に興味を持つ学生・初期研修医が参加しやすい日時・場所で行うこと、tutorも「放射線腫瘍学夏季セミナー」の講義を聴講できるようにすること、及び不必要な経費の節減にありました。そのため、今年はメディカル・プリンシプル社主催の「レジナビ」に合わせて日時を設定し、また、交通の便を考え大阪(第16回)と東京(第17回)の2会場での開催とし、学生・初期研修医が参加しやすい環境を整えました。その甲斐あってか定員を超える参加申し込みがあり、盛況のうちにセミナーを終えることができました。
セミナーでは講師の先生方から基本的な講義を受けた後、参加者3人に対して1名のtutorが担当となり、実際のRTPSを用いて放射線治療計画を行いました。放射線治療の基本を守りつつ、参加者の自由な発想に基づく斬新な計画も作成され、発表会は大いに盛り上がりました。
懇親会も熱く盛り上がり、放射線治療の明るい未来を感じずにはいられませんでした。今回のセミナーがきっかけとなり、多くの放射線腫瘍医が生まれることを期待しております。また、来年以降もセミナーをますます盛り上げていこうと思いを新たにしました。
例年、セミナー参加者の実習を支援するtutorは「NExT」のメンバーが担当しています。「NExT (New Educational x Training)」は、全国の放射線腫瘍医の若手を中心に2006年に設立した団体です。放射線治療を中心としたがん医療に関わる「教育・研修」プロジェクトの企画・立案・実行を主な活動内容としており、現在60名以上の放射線腫瘍医がメンバーとなっております。過去のセミナーに参加した学生・研修医が放射線腫瘍医となって「NExT」のメンバーとなり、セミナーのtutorとなって次世代の人材を開拓していく、という良い循環ができつつあります。今後も積極的に活動を進め、日本の放射線治療の発展に寄与できればと思います。
セミナーの開催に伴い、JASTROの「がん放射線治療推進委員会」、大阪府立成人病センター、RTPSと実習会場を提供頂いたメーカーの多くの方々に支援を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。
第16回 医学生・研修医のための放射線治療セミナー実施報告書
第16回 医学生・研修医のための放射線治療セミナー実行委員長
広島市立広島市民病院 岡部 智行
2010年7月3日(土)、21人の参加者を迎え、大阪府立成人病センターで「第16回医学生・研修医のための放射線治療セミナー」が実施されました。内田先生(島根大学)、中村先生(大阪府立成人病センター)の講義で始まり、放射線治療に基本に関するミニレクチャーを行った後、Eclipseを使用して6班編成での実習にはいりました。
基礎編は放射線治療装置の操作の習得に重点をおき肺癌骨転移症例を、応用編は実際の臨床を模擬体験してもらうことを念頭に、食道・肺・前立腺の症例を用いて3グループに分かれて実習を行いました。また、実習の間には休憩を兼ねて大阪府立成人病センターの施設見学を行いました。実習後にはグループ毎に発表を行い、それに対して西村先生を始めとした理事の先生方から講評をいただきました。あいにくの雨の中の開催となりましたが、会場内は熱気に満ち、次代の放射線治療医の息吹が感じられました。
実習後、KKRホテル大阪で懇親会を行い、その場で参加者には各々感想を述べてもらいました。結果としてほぼ全ての参加者から好意的な感想をいただき、将来の進路として放射線治療医を考えるという声が多く、盛況のうちにセミナーを終了することができました。
セミナー後のアンケートの結果、今回のセミナーの参加者は、ほとんどが放射線治療に興味を持っていたようでした。これは各大学・研修施設での教育の賜物と思われ、放射線治療医へむけてもう一押しするのが今回のセミナーであったと思っています。もちろん本セミナーのみで放射線治療医が増加するわけは無く、各大学・研修施設での先生方の学生・研修医に対する教育、レジナビでの勧誘や進路相談、セミナーでの実習が有機的につながることが重要と考えています
本年度のセミナーは、JASTROの夏季セミナーと別開催となったこと、レジナビの日程にあわせて大阪・東京の2箇所での開催となったことが前年度までと大きく異なりました。このため、いわゆる夏季セミナーの主管大学の協力が得られず、事務的な準備や当日の運営で、西山先生・中村先生をはじめとした大阪府立成人病センターのスタッフの方々や事務局の皆様にお世話になり、厚く御礼申し上げます。また、Eclipseを提供いただいたVarian様、セミナーにご理解を頂き御指導頂いたJASTROの先生方に深く感謝いたします。
最後に本セミナーの受講者が次代の放射線治療を担うことを祈念し、御報告とさせていただきます。
セミナー・懇親会アルバム
第17回 医学生・研修医のための放射線治療セミナー実施報告書
第17回 医学生・研修医のための放射線治療セミナー実行委員長
獨協医科大学 玉置 幸久
医学生・研修医のための放射線治療セミナーは本年度より東京と大阪の2箇所で行われることとなり、東京会場では7月17日にエレクタ東京本社のトレーニングセンターをお借りして開催されました。
2会場での開催に伴い、受講定員も50名と拡大され、このうち東京会場では30名の医学生・研修医が参加されました。当日は好天にも恵まれ、セミナー受講生、チューターとも1人の欠席者もなく、大盛況のうちに終えることができました。
セミナーは12時30分から受付開始でしたが、気の早い受講生数人が12時前から会場に到着し、準備中の主催者側を慌てさせるという展開でスタートしました。
定刻の13時より山形大学の根本先生より開会挨拶をいただいた後、根本先生、板澤先生(横須賀市立市民病院)の講演が始まりました。
講演の後は、いよいよ3人で1つの班を作り、10班に分かれて治療計画の実習を行いました。まず実行委員長の玉置(獨協医科大学)より放射線治療の基本に関するミニレクチャーを行った後、基礎編と応用編の2つの症例の治療計画に取り組んでいただきました。
基礎編は転移性骨腫瘍に対する緩和照射というシンプルな症例を教材に選びましたが、治療計画装置に初めて触れたという受講生も比較的多く、治療計画の基礎的事項や操作方法の習得などに主眼において最小限の内容をゆっくり教えるようにしました。
続いて応用編では食道グループ、肺グループ、前立腺グループに分け、それぞれ根治照射症例を使って実践的な治療計画にトライしていただきました。応用編の頃になると、受講生も徐々に操作やセミナーの雰囲気に慣れてきて、積極的に多彩な治療計画を立案する一方、それを教えるチューター側も進行状況や理解度に応じてより高度な内容まで踏み込んだ展開を行うなど密度の濃い内容でありました。
また子宮腔内照射のシミュレーション用の人形を会場に持ち込み、簡単な講義を行った後にタンデムとオボイド用いた実習も組み込みました。
実習終了後は、各グループで各々の班が立案した治療計画をプレゼンテーションし、互いに意見を出し合いながら、JASTRO教育委員の先生方の講評をいただきました。
最後に本セミナーの実施責任者の唐沢先生(都立駒込病院)に閉会挨拶をいただき6時間半のセミナーはあっという間に終了となりました。
その後は場所を移して、懇親会が行われました。懇親会も和やかな雰囲気で行われ、1人1人がセミナーの感想や自分の気持ちや志を皆の前で表明されていました。このセミナーを受講して放射線治療に進む気持ちが固まった、あるいは放射線治療への興味が深まったとコメントしていただいた受講生も複数おられ、主催者側も感激させられました。
今年からセミナーの形式が大幅に変更になり、主催者としても至らなかった点や改善すべき点もあったと思いますが、今年の反省を生かして来年のセミナーにつなげていければと考えております。
最後になりましたが、JASTRO教育委員の先生方、熱心に指導いただきましたチューターの皆様方、事務的作業をお願いしましたJASTRO事務局の方々、会場および治療計画装置(XiO)をセミナーのために提供いただきましたエレクタ(CMSジャパン)の方々、そして何より受講いただきました未来の放射線治療医のたまごの皆様方、すべての人の熱意と協力のおかげでセミナーを盛況のうちに開催できたこと、深く感謝致します。ありがとうございました。